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「あぁ、すっごーく、暇なんですけど~」
結晶質石灰岩の地の冷たく固い場所でうつ伏せになり、いくつもの硝子珠をわずかに離れた場所にある珠を目掛けて人差し指で弾く。辺りには、幾度となくこの行為を繰り返していた証拠があちこちに散っていた。
暇、暇、暇――何度もまるで呪文のように唱え繰り返し、両の下腿部(かたいぶ)を交互に上げ下げを、これもまた繰り返す人物がここに1人。
「お前は餓鬼か」
頭上から降ってきた言葉と共に、弾いた硝子珠がこつんと障害物に辺り止まる。視線を少し上げ見たのは、そこには自分と同様のブーツのつま先。しかし、この人物には声の主が誰なのか知っているかのような顔つきで口端を上げた。
「なぁーんだよ。餓鬼ってさ」
よっこいしょ――両手を使い体を起こす際、サラリと無雑作に伸びた銀の髪が揺れる。片方の膝を立てその上に腕を乗せた後、今度はしかと顔を上げた。
「シュヴァルツ様がお呼びだ。さっさと来い、餓鬼」
「餓鬼餓鬼って煩いなぁ。あ~ぁ、めんどくせーなぁ」
「あ?」
「だいたい僕は君のように、あいつに従順なタイプじゃないんだよね。用があるなら、そっちから来いってね」
「貴様は誰のおかげで、ここまできたと思っているんだ」
銀髪――ハウィーはだるそうに立ち上がり、口元は笑っているように思えた。が、その瞳は恐ろしいほどに冷たく鋭い。ハウィーの瞳がとらえている人物もまた、鋭い目つきで彼の瞳から逃げることはない。
「ん? なぁ~に、その目。そんな目をされるとさ、斬りたくなっちゃうなぁ、僕……」
「1つ聞こう。シュヴァルツ様に従う気が無いのなら、何故、ここに留まっている。とっとと出て、貴様1人で好きに行動すればいいだろう」
「ん~? 答えは簡単さ、あいつ強そうだし? 隙あらば、一戦交えたいなんて思ってるんだけど。なのに、あいつ全然隙を見せないから、中々その機会がなくて」
ハウィーが笑い混じりで言い放った言葉で、こめかみがピクリと動き眼光が鋭さを持ったが、ハウィーを前にあざけり笑う。



