君がいるから



 "答えない場合は――どうなるか、覚悟"

 忠告された言葉が頭の中で一瞬にして駆け巡り、またあのようなことをされるのかと背筋が寒くなって――。

「山梨あきなっ」

「…………」

 叫ぶように大声で言い放つとカウントが止まる。私を見ていたかと思えば、何故か一つため息をつかれてしまい、再びギルは瞼を閉じてしまう。

(なに、今の溜息)

 訳も分からないこの状況に、事の整理をしようとするもそれはすぐに妨げられる。

「歳」

「……17歳」

「身長」

「えっと、155センチです」

「体重」

「たっ体重!?」

「いーち」

「……よっ42」

 言いにくいことまで聞かれ、ギルガータから逸らすように体を少し反対側へと向け、膝の上で拳を握り締めた。

「特技」

「一応、料理」

「…………」

 私が答えたあと、また次々と言葉が返ってくるかと思いきや、言葉がピタリと止まってしまう。不思議に思い首を傾げて振り返ったら、閉じていた目が開かれ視線だけを私に向けた。そして、おもむろに口が開かれる――。

「お前」

「……次はなん……ですか」

「何処から来た」

 視線が絡み合い、彼の言葉に時が一瞬止まったように感じる。さっきまでの睨みつけるような視線じゃない――ただ真っ直ぐに私を捉える瞳。

「何処から来たかって聞いてんだ、俺様は」

 この世界の人間じゃないって言ってもいいものか。言ったとしても、アディルさん達のように素直に聞き入れてくるのか。

「何処からって――シャルネイからです。あなたがシャルネイから私を連れ出したんですよ」

 今の私にはこう答えた方が妥当のような気がして、こう口から出た。この場であれこれ言ってもきっと、状況が変わるわけでもない。

「ふんっお前シャルネイの人間じゃねーよな? っというか、この世界の人間でもないだろ」

 ギルガータの言葉に驚き目を見張る。私の表情を確認した途端、怪しげに口端を上げて鼻で笑う。

「やっぱりな。分かりやすい女だな」

「…………」

「その服装、この世界じゃ見たことねぇーしな。シャルネイの事は忍び込む際、こっちだって色々調べまくってんだ。シャルネイ製のものじゃないことくらい分かる」

 指で私の首から下を示して男の指が上下に動かされ、私は自分が着ている制服へと視線を移し見る。

「それと、もう1つ――」