君がいるから





 けたたましい轟音がしたかと思えば、絶叫マシーンに乗って感じる内臓が浮く感覚に陥る。そうして、足元が浮き――。

 ガガガガガッ!! ゴドッッシャーーーーンッッッ!!

「っきゃーー!」

 異様な轟音と共に強い衝撃が襲う。壁や床に叩きつけられてしまいそうになり、咄嗟に身を伏しベットに縋り付くも、そのベットは固定をされておらず、ガタガタッと動き不安定で頼りにならない――。けれど、もうその場から動くことが出来ない状態。全身に襲ってくる衝撃と見えない強い重力に、声にならない言葉が喉の奥で突っかかる。

 ドッッッッゴーーーーンッ!!

 再び体を重く強いもので押さえつけられる感覚と、大きく鳴り響いた音の後で今の衝撃が嘘のように消え、横たわったまま顔を上げる。

「と、まっ……た?」

 必死に縋り付いていたベットから汗ばんだ手を離すと、指を開いたり閉じたりを繰り返すけれど痺れているような感覚が体全部に回ってゆく。

「いってーーな! こんちくしょー!!」

 痺れが抜けない身を起き上がらせようとした時、大声が発せられその方を見遣ったら、ギルガータが座り込んで後頭部を両手で押さえ身を屈めている所――っとその隣で平然と立っている人物がそこに1人。

「お嬢さ~ん、お怪我はありませんか~?」

「あーはい……まぁ」

 ひらひら手を左右に振り、こちらに笑顔を向けるおじさん。更に気が抜けてしまう、この人の表情と口調に。
 苦笑を浮べる私とは裏腹に、ニコニコと笑みを絶やさないおじさんの視界に割って入ってきた赤い髪。

「あんっのヤロー!! またとちりやがって!!」

 未だ片手で後頭部を押さえながら、怒りをあらわにしておじさんの体を乱暴に押し退け、その場から突然走り去ってしまった。

「あちゃ~まぁた、雷落ちるやなぁ~こりゃ」

 ははははっと声を上げながら、おじさんまでもこの場から立ち去ってしまった。

「な、なんだったの? 今の……」

 目前の光景に唖然として、傍にあったシーツを両手で少し握った状態のまま、ポカーンッと口を開く。目前の光景――。
 視線先の光景――。

 ギーッギギッ