「好きだ。」
耳元で夏起くんの声が聞こえる。
冷たい海水が身体を取巻いていたはずなのに今は温かさがあたしを包む。
「俺の前から居なくならないでくれ。」
夏起くんに抱き締められてるのかな??
体中がゆっくりと温かくなっていく。
イヤだ、イヤだ。
お願いだから、壊れた心を治そうとしないで。
「過去の想いでしょ。離して。」
「過去の想いじゃない。今だって俺は梓紗のことが好きだ。」
夏起くんは真剣な表情で見つめてくる。
壊れていく、もっと壊れていく。
あぁ、もうイヤなのに。
ぬくもりも心も、感情も……………恋も。
「……………離して。」
「海から出るぞ。」
「離して。」
「こんなに冷たいんだから早く出ないと。」
「離してって言ってるでしょ!!!!」
『パチンッ』
乾いた音が響く。
こんなことがしたかったわけじゃないのに。
あたしは………………夏起くんの頬を叩いたんだ。

