Heart ✰番外編✰









その時だった。


後ろから水を激しくかき分ける音が聞こえてきた。






          「梓紗!!!!」




あたしが好きになった甘い声が聞こえてきた。



あれっ??    あたし、本当に壊れちゃったみたい。



後ろから夏起くんの声が聞こえてくる。



そんなことある訳が無いのに。


あってはいけないはずなのに。


なのに、どうしてだろう。


あたしは後ろを振り返ってしまったんだ。


望んでしまったんだ。


夏起くんが来てくれることを。


後ろには真冬の冷たい海の水をかき分けてくる夏起くんが居た。


「何してるの??」


あたしは、夏起くんが5m先に居る所で声をかけた。


そこで止まってほしかった。


じゃないとあたしは夏起くんに抱きついて泣いてしまう。


頼ってはいけない人に壊れた心を治してもらおうとしてる。


夏起くんは寒さに身体を震わせていた。


あぁ、あたしは何も感じないのに。


なのに、どうして思いだし始めてるんだろう。


夏起くんの温もりを。