にーちゃんが慌ててアイツに駆け寄るのと同時に、俺は無性に、逃げ出したくなった。 にーちゃんに保健室の先生を呼んでこいといわれて、慌てて駆け出した俺は、少しでも早く、速く、早く。 いつも運動会で一位でも、どんなに皆に速いねって誉められても、そんなの、こんなときに速く走れなきゃ意味がない。 俺のせいだ、俺の、俺が…、 "いらない"なんて、いっちゃダメだったのに。 後悔とごめんなさいが溢れてきて、どうしようもなくて、やけに遠く、重く、大きく感じた保健室のドアをあけて、驚く先生を連れ出した。