玲菜は9歳だったが、簡単な料理はできた。 親に作ってもらえなかったせいか、少しずつ覚えたのだ。 「玲菜、上手ね」 玲菜は必要以上に喋らず、ニッコリと笑ってやり過ごす。 これもだった。 ニコ 少しだけ困ったように笑ってやり過ごす。 それが、幼い頃からの自分が傷つかないための、自分を守るための術だった。 そんな玲菜をみて、梨香子は一瞬悲しそうな顔をした。 しかし、すぐに持ち前の明るさをだし、少しでも心を開いてもらおうと話しかけ続けた。