夏が終わった。
文化祭の時よりも空が遠い。
もうすぐ、さくらの園にも秋が来る。
今年の紅葉も綺麗だろう。
四季や十月、冬桜なんかは花を咲かせるからその下で宴会でもやろうか。
そうして、初が持ってくる自家製の美味いさくらんぼ酒を一本くすねるのだ。
剣豪と奥方が帰ってきたら出産祝いに飲みに行くらしい。
武闘派ではない御衣黄も混ぜてもらえると聞いている。
出産祝いに酒というのが如何なものかと思わなくもないが、他に御衣黄が持つものは自身の花くらいだ。
地味で、花なのかわからないような出来損ないの。
――でも。
御衣黄はふと浮かんだ想いを消えて仕舞わぬようにと心に刻んだ。
添えて送ろうか。
地味で、わかりにくい花だけれど。
おめでとう気持ちをたくさん込めて。
それが御衣黄にできる精一杯のことだから。
自然と緩む口元をそのままに御衣黄は吉野と繋いでいる手にそっと力を込める。
不思議そうに吉野が見つめてくるが、すぐにぎゅっと返してくれた。
二人は微笑んだまま歩いていく。
その姿はまるで――。

