竜鄙さんの家に着き、インターホンを押す。待っても出ないということは、お留守かぁ。
「じゃあ入ろうか」
黒羽が鍵穴に特殊な鍵、バンプキーを差し込み、叩いた。すると、簡単に開く扉。
「おじゃましまーす」
家には誰もいないけど、忘れちゃならないこの言葉。日本人の礼儀の一つだからね。
リビングに行き、椅子に腰をかけた。
「あ、冷蔵庫にミーナちゃんいるかな」
ミーナちゃんとは、冷蔵庫にいるのが好きな、顔の大きさくらいのペンギン。
竜鄙さんのペット。
実はミーナちゃん、竜鄙さんにベタ惚れで、最初の頃は敵として警戒された。
てか攻撃喰らった。
「……三月は馬鹿だね」
「えっ!?何で!?」