翌日土曜日の朝、出灰さんがまた来た。
「よぉ〜っ、よぉ〜っ、よぉ〜っ、よぉ〜っ」
毎回何なの、このしつこいよぉ〜っは!あ〜、足痛い。てか全身痛い。
「何だ生きてたか」
「当たり前だ。噂の割には弱かったしな」
「噂ってのは信用性がないもんだ。ま、龍の瞳は回収させてもらうぜ。ほい、今回のクリア報酬」
封筒が雑に投げられた。受け取ると、ずっしりと重みがくる。
んー……、100万かな?
「今回は大した怪我はないみたいだな」
「いやいや、怪我はなめちゃ駄目ですよ。一応竜鄙さんトコ行って診療してもらいます」
「そうかいそうかい。俺ぁどうもアイツは苦手だね」
「えぇっ、いい人じゃないですか!私の知り合いの中では一等普通の人ですよ」
「いや、アイツは普通じゃない。そんなこともわからないの?」
「私の知り合いの中ではってこと」
「いーや、だとしても普通じゃないな。んでもって苦手だ」
「出灰さんまで!」
「まぁいいや。んじゃ、達者でな」
「今日はえらく早いな」
「人気者は色々と辛いのよ」
その言葉を最後に、出灰さんはあっさり帰っていった。
まぁいいや。出灰さんだし。