私は真っ先に駆け出した。黒羽は多分後ろを悠々と歩いてる。
龍の瞳があるのはこのフロアの展示会場。全て貝原 愛咲離さんの作品。
……常々思ってたけど、ありさなら普通の名前なのに、あさりって名前はどうなの。
とにかく愛咲離さんの作品は世界で随一。買おうなんて思ったら億どころじゃない。
それを盗めとかバカか。しかも対決とか更にバカか。バカか!!
「っ!」
手の甲を何かが掠めた。血が滴り落ちるのは無視しよう。
「初めましてね、可愛いお嬢さん。敵地に何の警戒もなく入り込んでくるのはいささか無謀じゃないかしら」
闇の中から、一人のグラマーな女性が現れた。くそぅ、何であんなボインなんだっ。
「生憎頭が悪いの、私」
「そのようね。坊っちゃんはどうしたのかしら?戦線離脱?」
いやいや、黒羽に限ってそんなわけある筈ないじゃん。とは言わないけど。
「さぁね」


