クラスメイトが一人いなくなった二日後の夜、来客があった。
「よぉ〜っよぉ〜っよぉ〜っよぉ〜っ!!」
しつこいくらいによぉ〜っを連呼するこの人は、はっきり言って苦手な人物。
「何だおい、しけてんなぁ!夜みたいに暗いぜ?暗いぜ?暗いぜーっ!?
パーッと弾けて行こうぜ花の女子高生!!
はーっはっはっは!!
ところで狂気因子《マッドファクター》の奴はどうした?"狩り"か?」
喋りながら人の家にズカズカ入り込んでくる。リビングに黒羽の姿がないのを見て、私に聞いてきた。
「勉強中です。宿題片付けるんだって、ご飯食べ終わってから自室に籠ってます」
「ふぅん、へぇ、何だか笑えるね。
世界で狂気と言われ、警察でさえ居場所を掴めず、畏怖の対象、最早一部では崇拝の対象とされている彼が宿題!
ははっ、面白い。
それで、彼の宿題とやらはいつ終わるのかな?」
んなもん知るか。
「さぁ。
でも、大抵は10分もしない内に終わらせてますから、もうすぐ来るんじゃないでしょうか」
「なら、暇潰しに君と世間話でもしてようか」
断りたい。断っていい?いやいやいやいや、後が怖いって。
「……そうですね」
私は渋々頷いた。