「馬鹿だね、三月は。愚かしい故に愛おしいよ」
「それは二番目の意味かな?」
「どっちも。可愛いし愛らしいし可哀想だし不憫だし」
「……さいですか」
「ご馳走さまでした。さ、三月、頂戴よ」
シチューを食べ終えた黒羽は、早速ねだってきた。ちょっとちょっと、ハイペースだって。
「お腹一杯でしょ?ちょっと休みなよ」
「冗談でしょ、三月」
黒羽はニッコリ微笑んだ。年相応の、無邪気な笑顔だ。
「甘いものは別腹、だよ」
「……そうかいそうかい。黒羽ワールドにご招待どうも有り難う」
「だから早く食べ終えなよ」
「はーい、頑張る」