だから、嫌われるのを覚悟で無愛想な顔をして真っ直ぐに前だけを見る隣りの席のコに問い掛けた。


「ねぇ?佐々木君、どうして、誰とも話さないの?」


佐々木君は僕の声が聞こえなかったように、ただ前を見ていた。



彼には何も聞こえていない。

誰の声も聞こえていない。



とても哀しい瞳には僕は映っていなかった。

彼の瞳は…僕以外の誰かを探して見つめているように僕には思えたんだ…。


佐々木龍也。


彼を助けてあげなくちゃいけない。


僕は本能的にそう思った。