今も桜が綺麗に咲いています。

あ桜の場所からもう1週間たった。

外を見ると雨。

私はなんだか気怠い気持ちのまま着替える。

「寒いからなにか羽織るもの持っていこうかな。」

近くにあった適当なものを腕にかかえて家を出る。

ぼーっと歩いているとあの場所に来ている。

「あはは。無意識だよ。」

雨のせいで桜のピンクが少し灰色がかって見える。

「あ・・・・」

私はおもわず声を上げてしまう。

だってそこには傘も差さないで桜を見つめる土方先生がいたから。

すると急に脳裏を何かがかすめる。

“私の名前は彩愛っていいます”

“彩愛、か。”

言葉を交わす男女の姿が浮かぶ。

だけど一瞬でその風景は消えてしまう。

「え・・・・」

私は、昔ここで誰かに傘を傾けたような気がする。

なのにどうして思い出せないの!?

思い出したいのに

思い出せない自分がなんだか嫌で

涙が出そうになった。