――――さん、今日も――――ですね・・・・

「んっ・・・・」

私は少し重い体を起こす。

「またあの夢かあ・・・・」

時計を見るともう6時。

学校に行く支度をしなければならない。

私は昔からよく同じ人の夢を見る。

桃色の着物を着て桜を眺めている女の人。

時には一人で、時には誰かと。

目が覚めるまでは名前を憶えているのに、目が覚めてしまうと誰の名前を呼んでいたのかが思い出せない。

だけど

私はこの名前を思い出さなければいけない気がするのに


どうして思い出せないのだろう?

そんなことを思いながら着替えを済ませて学校へ行く準備を進める。