文化祭は無事、執り行われた。
一方、エレーナはまだ落ち込んでいた。
プリシラは、美術部の作品を観に来るよう進めた。
「ご主人様の作品をぜひ観にきて下さい」
「でも、私はあんなひどい事しちゃったし、観に行かない方がいいと思います」
エレーナは気が進まなかった。
「ご主人様は、エレーナさんを怒っていませんよ」
「でも……」
「私、エレーナさんにも観に来てほしいから連れて来てって、ご主人様から頼まれたんです。
展示室にいるご主人様は、自分の持ち場を離れられませんから」
プリシラはエレーナの手を引いた。
「さあ、行きましょう」
「あっ、ちょっと」
プリシラは、エレーナを美術部の展示室に連れて来た。
「エレーナさん、よく来てくれましたね」
展示室のテーブルに置かれた、シュウの作品であるコーヒーカップと皿。
それは、なぜか2個ある。
そして、「大切な人へ」と書かれたタイトル名が。
「これは!」
エレーナが思わず声を上げた。
大切な人とはエレーナのことであろうか……