八回の裏…0対1
巨人1点のリード


「こらあぁぁ~っ!!
まだ八回なのに、クルーンなんか出してんじゃね~よ!この卑怯者~!」


原監督の投手起用に、思いっきりヤジを飛ばす、熱狂的なドラゴンズファンのゆみ。


そのゆみの青いハッピのポケットの中で、携帯電話が激しく振動し始めた。


「もう~!今、いい所なのにぃ……はい!もしも…」


『テメエ~!呑気に野球の応援なんかやってる場合かぁ~!緊急招集だっつってんだろ~!!』


「げっ!…何でバレてるの?……もしかして、あたしテレビに映ってた?」


『いいか!みんな待ってるんだから、車飛ばしてさっさと来い!』


「は~~~い…わっかりました!」


結局、試合の方は八回、九回と巨人の新セットアッパー“クルーン”の速球の前に中日打線は完全に抑えられ、0対1で中日は負けてしまった。


「あ~~ん負けちゃった……これで阪神とまた差が出来たわ……」


なんて、落ち込んでる場合ではない!


たった今から、東名を飛ばして東京のアルカイナまで行かなくては、羽気田に殺されかねない。