「私は、新宿駅で寝泊まりしているホームレスの“トメ吉”という者ですが……
通りすがりのある人に、タダでホテルに泊まれるからと、誘われたんです。」


なんと!羽毛田の目の前にいるこの男は、犯人が用意した鶴田教授の“替え玉”だったのだ!


同じ騙すのであれば、なにも替え玉など用意せずに嘘の部屋番号を教えれば良いものを……わざわざこんな演出をするのは、羽毛田をぬか喜びさせてバカにしようといった犯人の悪戯だったに違いない。


「ちっっきしょ~~!
犯人の野郎~!!」


羽毛田は、アタマから湯気を吹き出さんばかりに顔を真っ赤にして、地団太を踏んだ。


カネを奪われたうえに人質は戻って来ない……
取引は最悪の結果に終わった。