むっとして、思わず眉間にシワを寄せてしまう。
そう言うのなら、あたしなんか相手にしなければいいのに。
「素直じゃないな、愛琉は」
楽しそうに里音が笑う。
あたしと愛琉さんは、互いに無言だった。
「ヒメーっ!」
沈黙を破るように入ってきたのは、佐久間さんだ。
長い木の枝を右手に持って、頬をほんのり赤らめている。
一斉に佐久間さんに視線を向けたあたしたち。
「ヒメ、早く早く」
そばまで来ると、腕を引っ張って急かされる。
里音と愛琉さんを交互に見て答えを求めていると、里音が頷いた。
「行ってきなさい」
親が子どもに伝えるように柔らかい口調で言って、頭を撫でてくれる。
「あ、でも」
ふと料理の途中だったことを思い出して、躊躇ってしまう。
そんなあたしの肩をポンと叩いて、愛琉さんが優しく笑った。
「後は俺がやっといてやるよ」
「え?」
普段見せないような笑みに、不覚にも胸がきゅんとなった。


