キッチンに立ってサラダ用の野菜を切っていたら、突然隣から嫌味が飛んできた。
グツグツと音を立てる鍋からは、シチューの美味しそうな香りがしてくる。
「ちゃんと切れてるわ。
ほら、見て」
包丁を置いて、さっき切ったばかりのパプリカを指差した。
「下手くそ」
確かに、言われてみれば少し不格好かもしれない。
大小様々だし。
それを指で摘まんで文句を言うと、今度は反対側の隣からフォローが入る。
「オレはこのくらいの切り方が、ちょうどいいけどな」
鍋の火を止めて、里音が愛琉さんの額を指で弾く。
「愛琉、いくらすずが好きだからってあんま意地悪するなよ。
そのうち愛想尽かされるぞ」
「は?」
2人の様子を伺っていると、里音は笑顔なのに愛琉さんは不機嫌そうだ。
ちらっと愛琉さんに見られて、え?と疑問を浮かべていると一言。
「こんなヤツ、ありえねーだろ」
「なっ……」


