音を立てて盛大に開かれた扉から、元気に琴葉ちゃんが登場。

片手には数冊の本を抱えて、笑顔を見せている。


突然のことに驚いてしまったけど、状況を把握してから立ち上がって彼女のそばまで寄った。



「琴葉ちゃん、“こっち”に来てたのね!」

普通だったら、エシャルの魔法学校で勉強している頃だろう。

まさか人間界で会えるとは思っていなかったから、とっても嬉しい。



「ふふっ、お母様に頼まれたの。
これを届けなさいってね」

そう言って、持っていた本を差し出してくる。


割と新しそうな本で、目立った汚れはない。

表紙にはエシャルの文字で“魔法具図鑑”と書かれていた。


琴葉ちゃんの話だと、この本の中に妖精を見つけるためのヒントが隠されているらしい。


「たぶん、そのブレスレットが鍵なんだと思うよ」

彼女の言葉に、自分の左手を上下する。


黄金色をしたブレスレットの飾りが、小さく揺れた。

光に反射して、きらりとそれが輝く。



「使い方さえわかれば、こっちのもんでしょ」