それでも尚、佐久間さんは解読しようと必死。

どう足掻いても、エシャルの文字を勉強してない彼には読めないのに。


「ねーホタル、俺つまんない」

「ぼくは楽しいよっ」

「……つまんない」


恋千くんはベッドから立ち上がって佐久間さんの隣まで行くと、そのまましゃがみ込む。


「つまんないんだけど」

「あっ……!」


不機嫌に呟くと同時に、佐久間さんの持っていた本を奪って床に座った。

きっと、かまってほしいのね。

やっぱり、恋千くんは前よりずっと甘えたがりになったみたいに見えるわ。



あたしがいない間に何かあったのかしら?

それとも、これが素?



「ヒメぇぇぇ、カミサマが邪魔するぅぅううう」

泣きそうになりながら、恋千くんを叩く佐久間さん。

まるで幼い子どもみたいね。


「邪魔してないよ、遊んでやってるんだろ」

強気な恋千くんには、到底適わなそう。


微笑ましく感じて2人の様子を眺めていると、ドタバタと駆ける足音が聞こえてきた。



「みんな久しぶり!」