ヒントをくれるからと、太陽と月の装飾品がついたブレスレットを渡された。
それを左手につけて、またアヴァルア校長先生と向き合う。
「じゃあ、よろしくね」
にこっと笑うと、強い風が吹く。
顔を庇う両腕の隙間から見えた、舞い上がる赤い花びら。
細めた瞳をぱっちり開けると、すでにアヴァルア校長先生の姿は消えてしまっていた。
あまりにも説明不足だわ。
探し方をまったく教わっていないんだもの。
このブレスレットだって、いったいどう使えばいいのか……。
左手を目線まであげて、首を傾げる。
「いつも唐突だよね、あのオバサン」
頭のうしろで腕を組ながら、恋千くんが言った。
アヴァルア校長先生に向かってオバサンは、禁句だと思うわ。
本人がいないからセーフだけれど。
「ねぇヒメ、妖精って見えるの?」
「たしかに。
見えないことには探せないしな」
佐久間さんと里音は、妖精についての質問を投げかけてくる。
正直あたしも、本物の妖精さんを見たことはない。


