RUBY EYE


その目に、月野は言葉を失う。

浦部が自分に向けた、獲物を狙う獰猛なあの目を、思い出した。


「もう少し優しくしてからにしようと思ったんだけど」

「は、離しなさい!」


顎を掴まれて、月野は足をばたつかせる。

ベッドが軋んだ音をたてるけど、月野の抵抗する声の方が大きい。


「離して! やめて! お願いだから―――ッ」


うるさい、とでも言いたげに、桜太が月野の唇を塞いだ。

自分の唇で。


「ん――――――!!!」


固く閉じた唇を、桜太が強引に開かせようとする。


(いやっ、気持ち悪い!)


開かせられた口腔に、桜太の舌が侵入してくる。

その感覚は、決して気持ちの良いものではなく、むしろ不快感しか感じない。


―――ガリッ。


「痛ッ」


桜太が素早く、月野から唇を離した。

切れた互いの唇に、桜太の顔が歪む。