冷たい彼女の言葉に、怒りはしない。
あの時、他人に八つ当たりをしなかった彼女を、むしろ褒めるべきだ。
突き付けられた“現実”と、残酷な祖母の願い。
それをいっぺんに抱えれるほど、彼女の心は強くないだろう。
(俺のことを、責めるだろうか?)
気になるのは、そのことだった。
美鶴に頼まれ、月野の傍にいた。
自分は何もかもを知っていた。
彼女がダンピールであることも、美鶴の願いも、他のヴァンパイアに狙われるであろうことも。
そのすべてを知りながらも、月野に何一つ、教えなかった。
心の中を埋め尽くす、やり場のない怒りの矛先が自分に向けられても、背を向けるつもりはない。
そのくらい受け止めなければ、彼女に許してとは言えないだろう。
―――コンコン。
「綾織くん、いる?」
「・・・・・・月野?」



