「・・・・・・そう」
ここに来てから感じていた不安や疑問、違和感が、全て晴れた。
月野は立ち上がり、スカートについた僅かな砂を叩く。
「部屋に戻る」
「送ろうか?」
「いらない」
冷たすぎる物言いかもしれない。
でも今は、他人を気遣えるほどの余裕がないから。
月野は重い足取りで、自分の部屋へ向かった。
「・・・・・・」
十夜は、追いかけなかった。
今彼女の傍に駆け寄っても、かける言葉なんて見つからない。
何も知らずにいた、無垢な乙女。
わかっていたのに、浦部に襲われるまで、忘れていた。
あの子は女の子で、か弱いのだということを。
泣き濡れた彼女の小さな体を抱きしめた時、その柔らかさと芳香に、血が騒いだ。
「月野、お前はどうする?」
美鶴の言う通りに、祖母を殺して救うのか。
それとも、この現実から逃げ出すのか。



