昼間が楽しければ楽しいほど、夜の静けさに震える時がある。
足は、自然とバラ園へ向いていた。
「・・・・・・綾織くん?」
先客がいたらしい。
噴水に腰掛け、十夜は頭上の月を見上げていた。
その姿は、一枚の絵画のようで、話し掛けるのが躊躇われた。
「月野。眠れないのか?」
「・・・・・・うん」
「おいで」
手招きされて、月野は十夜の隣に腰を下ろす。
薔薇の香りと、噴水の囁くような水の音。
現実を飛び出したような、不思議な世界。
「寒くないか?」
「平気。綾織くんがいるから、あったかい」
寄り添いあえば、互いが互いを満たしてくれる。
「月野・・・・・・」
「ん・・・・・・」
触れ合う唇と唇。
目を閉じていても、繋いだ手からあなたのぬくもりが感じられる。
「・・・・・・愛してる」
そんな大層な告白、いらないわ。



