手を払い落とし、愛理はぶっきらぼうに問う。


「月野に会わなくていいの?」

「俺は空気の読める男なの。そんな野暮な真似はしない、って」


本当は会いたいくせに。

愛理は照れたように、顔を背ける。


「・・・・・・お腹空いた」

「んじゃ、なんか食いに行くか。何がいい?」

「ガッツリ系。もちろん、あんたのおごりで」

「はぁ? ちょっと待てよ、愛理!!」


素直じゃない幼なじみの背を、鷹斗は慌てて追いかけた。










「明日帰るの?」


ベッドに腰掛け、月野は驚いた様子で父を見た。


「元々、無理して取った休みだし、真白も心配だから」

「お母さんは大丈夫だと思うけど、仕事があるものね」


母・真白は、とても強い人。

何日か慧がいなくても、平然としているだろう。


「ふふ、そうだね」


ふと、慧が真面目な顔をした。