あの教会は、秦もそれなりに思い入れがあり、度々足を運ぶ。
「伊織さんが?」
「会えるかどうかはわかりませんが」
「・・・・・・わかった。行ってみる」
伊織と話して、何が変わるかはわからない。
が、何もせずにただ相手の出方を待っているよりは、動いた方がマシだ。
十夜は小さく息を吐くと、遠くの森に視線を向けた。
幼い頃、まだ摩耶が許婚となる前。
十夜と鷹斗、愛理、摩耶で、よく一緒に遊んだ。
森の中、暗くなるまで遊んで、迷った挙げ句に見つけた白い教会。
そこは4人の秘密で、たくさんの思い出が詰まる場所。
(ここに来るのも、久しぶりだな)
重い扉を開け中へ入ると、ステンドグラスが太陽に照らされ、幻想的な雰囲気を醸し出していた。
「・・・・・・」
この教会で、結婚式のまね事をした。
十夜は本気じゃなかったが、摩耶は本気だったのだろう。



