扉の向こう、月野は平気な顔をしていたが、まだ心と頭は混乱しているだろう。
「今は、休ませた方がいい。少し、いいか?」
「はい」
十夜は秦と共に、人気のない場所―――書庫へと足を運んだ。
あまり人が出入りすることがないので、掃除も時折しか行われていない。
「摩耶を牢から出したのは、静貴だ」
「! 静貴様が・・・・・・?」
驚愕する秦を見て、十夜は頷く。
証拠など、最早必要ない。
「光彦は、摩耶を牢から連れ出すための陽動に、利用されたんだと思う」
「伊織様は・・・・・・」
「わからない。何か目的があって、静貴に従っているのか・・・・・・」
考えてみても、答えなど出ない。
そんな十夜に、秦が思い出したように告げる。
「森の奥にある教会を、ご存知ですか?」
「ん? あぁ、昔遊んだ記憶があるが。それが、どうかしたのか?」
「そこで、何度か伊織様の姿を見かけたことがあります」



