「・・・・・・夏の夜だから、寒くないわ」
うまく笑えてる自信がなくて、月野は俯いてしまう。
「あ、綾織くん?」
十夜が距離を縮め、月野の手を握りしめた。
驚いた月野が顔を上げると、微笑む十夜と目が合う。
「俺は寒い。だから、温めてくれ」
「・・・・・・うん」
優しい嘘。
繋いだ十夜の手は、冷えてなんかいない。
でも、月野は素直に頷き、十夜の手を握り返した。
「綾織くん」
「ん?」
「もう少しだけ、傍にいて」
「・・・・・・あぁ」
両親の元へ帰るのが、一番安全。
そんなこと、言われるまでもなく、わかっている。
でも、今はここにいたい。
十夜の隣に―――。
翌朝、キッチンに上半身裸の男性がいて、月野は絶句した。
「おはようございます、お嬢さん」
「あ、えっと、その・・・・・・」
慌てる月野を見て、男性―――秦は苦笑する。



