涙を指で拭えば、月野の潤む瞳に自分の顔が映るのが見えた。
優しく触れるだけのキスをすれば、月野の瞳が微かに揺れた。
「月野・・・・・・帰りたいか?」
十夜の呟くような声に、月野は静かに目を伏せる。
「・・・・・・綾織くんは―――ううん、何でもない・・・・・・」
十夜から離れ、ベッドに横たわり背を向ける。
自分がいなくなっても、十夜は何も変わらない。
それが寂しいような、悲しいような、複雑な気持ち。
「月野・・・・・・また、後で見に来るよ」
十夜が部屋を出ていくと、月野はベッドに潜り込み、目を閉じた。
「! ・・・・・・っ」
瞼の裏に浮かぶのは、光彦の顔。
どこも怪我なんてしていないのに、血の匂いがしたような気がして、月野は眠れなかった。
真夜中、十夜は月野の様子を見るため、再び彼女の部屋へ足を運んだ。
「月野・・・・・・?」
ベッドを見れば、空っぽ。



