あれは、光彦の自殺も同然だ。
月野は、その巻き添えにあっただけ。
「だって、私・・・・・・っ」
手に残る感触は、本物だ。
初めてだった。
あんな、人の肉を貫いていくような感触、他に例えようがない。
「うっ・・・・・・!」
吐きそうになる月野の背を、十夜は優しく撫でる。
瞳から溢れる涙が、スタンドライトの明かりでキラキラと光る。
「いや・・・・・・いやっ」
「月野」
十夜の手に、爪が食い込んでいる。
それでも、十夜は何も言わなかった。
目の前の月野が負った心の傷に比べれば、大した事じゃない。
「月野・・・・・・」
「う・・・・・・っ」
嗚咽さえも飲み込もうとする月野を、十夜はたまらず抱きしめた。
「綾織くん・・・・・・」
「傍にいるから」
耳元に響く、月野の押し殺した泣き声。
流れる涙が、十夜の服を濡らしていく。



