「不死にも近しいヴァンパイアを、いとも容易く殺せてしまう存在。―――わかるだろう?」
「ダンピール―――月野?」
十夜が動き出そうとした瞬間、辺りに不穏な気配が満ちた。
「咎堕ち・・・・・・クッ」
囲まれてしまえば、すぐには動けない。
「伊織さん!」
立ち去ろうとする伊織に、十夜が叫ぶ。
伊織は一瞬振り返ると、少しだけ悲しそうに微笑んだ。
「どけ、邪魔だ」
冷たい声も、彼等には聞こえない。
目を赤く染まらせ、目の前の餌に群がるだけだ。
(月野・・・・・・!)
「坊ちゃん!」
秦が叫び、十夜に向かって刀を投げた。
「先に行け、秦!」
「ど、どこへですか?」
「紅玉館だ。そこに、光彦もいる」
鏡のように美しい刀身に、十夜の顔が映る。
「坊ちゃんは?」
「これを片付けたら、すぐに追う」



