「保健医の浦部です。転校生だったんだね」
「はい。あの時は、失礼しました」
頭を深々と下げる月野に、浦部は苦笑する。
「いいんだよ。急に話し掛けられたら、怪しいと思うよね」
「すみません・・・・・・」
なんだ、いい人そうじゃなくて、いい人なんだ。
月野は、先程までの不安な気持ちが、一気に消えてしまい、落ち着いていた。
「怪我とか具合が悪くなったりしたら、いつでもおいで、音無さん」
「はい」
返事をした後、月野はふと気づく。
(私、名乗ったっけ?)
いや、名前なんて言ってない。
(でも、保健医だし。転校生の名前くらい、知ってる・・・・・・よね?)
再び燻り出した不安と疑惑の炎を、月野は冷静に押さえ込む。
「音無さん、どうかした? 具合が悪いなら、横になっていく?」
「い、いえ。大丈夫です」



