机に顔を突っ伏して、目を閉じる。
十夜のぬくもりと香りを思い出すと、頬がほのかに赤らんだ。
―――コンコン。
「は、はいっ」
月野は顔を上げ、裏返った声で返事をした。
「どうしたの? 顔が赤いわ」
椿がアイスティーの乗ったトレーを持って、部屋へやって来た。
「な、なんでもないです」
月野は笑って誤魔化し、テーブルに乗ったアイスティーに手を伸ばす。
冷たくて美味しい。
「今日のおやつはミルクレープ」
と言うが、3時のおやつはとっくに過ぎている。
月野は苦笑いをしながら、ミルクレープを受け取った。
「十夜がいなくて寂しい?」
「え?」
「そんな顔してる」
どんな顔だろう?
月野は鏡に映る自分を見てみたが、良くわからない。
「恋をすると、女の子はますます綺麗に可愛くなるわよね」
「恋、ですか?」



