「それに、お前の傍の方が、落ち着く」
囁くような声だったし、月野には聞こえなかった。
「何か言った?」
「いや、なんでもない」
十夜は微笑み、月野の横顔を見つめていた。
その日の夜。
十夜と愛理は、ふたりでどこかへと出ていってしまった。
月野はリビングで、パラパラと雑誌をめくる。
「はい」
「香堂くん・・・・・・」
鷹斗が差し出したのは、冷たい炭酸のジュース。
月野はお礼を言って受け取ると、一口飲んだ。
「月野ちゃん、好きな奴はいる?」
「い、いきなり何の話?」
唐突な質問に、月野はグラスを置く手が滑りそうになった。
「知りたいから」
「どうして?」
月野の素朴な疑問に、鷹斗は苦笑した。
「君が好きだから」
「・・・・・・え?」
鷹斗の告白に、月野は怪訝な顔をした。



