愛理は、そんな十夜を見て、悲しげに目を伏せた。
「あの子・・・・・・来年の春には、こっちにいないのよね?」
「え? あ、あぁ」
両親の海外赴任が終わる一年間だけ。
そう、聞いている。
「なら、あんまり親しくならない方がいいと思う」
「・・・・・・愛理?」
「それに、あの子は私達と違うから」
愛理はそう言うと、掴んでいた十夜の手を離した。
「いいのか?」
「うん。・・・・・・今日の夜、私に時間をちょうだい。大事な話があるの」
「・・・・・・わかった」
愛理から離れた十夜は、ビーチへと戻っていく。
「お前、月野ちゃんのこと“雑種”って呼ばなくなったよな」
「キャア!」
背後から声が聞こえて、愛理は慌てて振り返る。
そこには、肩まで海に浸かった鷹斗がいた。
顔しか見えていないので、不気味だ。
「驚かせないでよ!」
怒鳴る愛理を、鷹斗はため息をついて見上げる。



