「まだ何か?」
動かない月野に、美鶴は怪訝な視線を向けている。
「ずっと、考えていました」
「・・・・・・」
月野の話をよく聞くため、美鶴は体ごと向き直った。
「おばあちゃんの死にたいという気持ちは、考えてもわからない。私は、おばあちゃんみたいに、誰かを愛したことなんてないから」
夫を深く愛する美鶴の気持ちは、とても真っ直ぐで、汚れがない。
それは、少しだけ羨ましいと思う。
「でも、おばあちゃんが私に言った願いは、本当に切実だと・・・・・・思う」
殺して救ってほしい。
その言葉の半分も理解できないけれど、とても重いということだけはわかる。
「では、月野―――」
「ううん。私は、おばあちゃんを殺さない」
首を振る月野を、どこか寂しげに見つめる美鶴。
「どうして?」
「私が殺したくないから」
月野は目を逸らさず、美鶴を見つめた。
その瞳に月野の強い意志を感じて、美鶴はため息を漏らした。



