椿が渡してくれた日焼け止めを見て、月野が微笑む。
月野が海を嫌う理由のひとつが、日焼け、だ。
日に焼けるとヒリヒリして、肌が赤くなる。
「ありがとうございます」
「いいのよ。一応、美鶴様にも挨拶しておいてね」
「あ、はい・・・・・・」
椿が出ていくと、月野は考え込むように俯いた。
(おばあちゃん・・・・・・)
ずっと、頭の片隅で月野を悩ませている問題。
それは、美鶴の“願い”。
「・・・・・・」
月野は立ち上がり、美鶴の部屋へと向かった。
―――コンコン。
扉をノックすると、美鶴の声が返ってきた。
「入りなさい」
月野は静かに、部屋へ足を踏み入れる。
窓が開いているらしく、風が頬を撫でた。
「どうしました?」
「明日から、海へ行くので・・・・・・」
「あぁ、そうだったわね」
美鶴は本を閉じ、月野を見た。



