美鶴の自室で、椿は現状を報告していた。
外は日が沈みかけ、薄暗い。
「死体の方は、今夜、綾織の使いが引き取りに来るそうです。屋敷の掃除も、今日中に終わらせます」
「そう。十夜は?」
椿は目を伏せたが、声は冷静だった。
「傷は塞がっています。ですが・・・・・・」
「血が足りないのですね」
「・・・・・・はい」
定期的に血を飲む他のヴァンパイアと違い、紅玉館に住むヴァンパイアは、血を極端に控えている。
その中でも、十夜は特別、血を飲まない。
日頃から飲んでいれば問題ないのだろうが、今の十夜は血が足りず、かなり危険な状態だ。
下手をすれば、死を招く。
「本人は、何と言っているの?」
「血を欲しているようですが、血は飲まない、の一点張りで・・・・・・」
恐らく、月野がいるこの屋敷で、血を吸いたくはないのだろう。
そんな姿を、見られたくないのだ。



