えぐるように、浦部の爪が、手が、十夜の腹部を血で濡らす。
「あ、あ―――!」
「月野ちゃん!」
駆け寄った椿が、月野の視界を遮るように抱きしめた。
―――ブシュ・・・・・・。
十夜が浦部の手を引き抜くと、途端、血が流れ出した。
石畳を赤く染める血の量に、椿は顔をしかめる。
「血だっ。血だ血だ血だ」
浦部の狂った声など、聞きたくない。
十夜はナイフを握る手に力を込めて、浦部の心臓を突き刺した。
「ギャア―――!!!」
つんざくような悲鳴に、月野の体が震えた。
殺したんだ・・・・・・。
何も見えないけれど、わかった。
「十夜! 小野瀬さん!!」
月野を抱きしめたまま、椿は倒れ込んだ十夜に声をかける。
傷は塞がっていくが、出血が多すぎる。
呼ばれた小野瀬が、悲惨な状況を目にし、急いで十夜を抱え上げた。



