十夜が月野の腰から、ナイフを取り出す。
椿が、ここなら見えにくいと言って教えてくれた、隠し場所。
「目を閉じてろ」
「でも・・・・・・」
人を殺すなんて、良いはずがない。
月野は十夜の手を掴み、首を振る。
「咎堕ちしたヴァンパイアは、助からない」
死ぬまで血を求め続け、狂ったまま死ぬだけだ。
心臓を貫けば、余程力の強いヴァンパイアでもなければ、回復スピードは追いつかない。
「それでも、綾織くんが殺すなんて・・・・・・」
「俺はいいんだっ。これが初めてってわけじゃない」
月野が知らないだけで、この手は血で染まっている。
洗っても洗っても消えない、血の匂いが染み付いた自分の手。
本当は、こんな手で君に触れたくないのに。
「! 月野、逃げろ―――くっ」
「!!!」
十夜の腹部に突き刺さるのは、浦部の爪。



