客間の掃除をしていただけなのに、まさか襲撃にあうとは予想外だ。
「女か・・・・・・」
赤い目―――咎堕ちだと、すぐにわかった。
静貴や伊織が言っていた、逃げ出した咎堕ちなのだろうが・・・・・・。
(気配は一つじゃない。まさか・・・・・・!)
感づいた椿が部屋を出ようとすると、男が進路を塞いだ。
「どきなさい」
「血をくれ・・・・・・お前の後に、混血の娘の血を飲むんだ! ヒャハハ」
狂ったような笑い声に、反吐が出る。
椿は短剣を取り出すと、スッと目を細めた。
「相手は選びなさい。―――私はそんなに、優しくないわ」
短剣の切っ先が描く軌跡は、素早く男の心臓を突き刺した。
「美鶴様、ご無事ですか?!」
書斎の扉を開け、むせ返る血の匂いに、小野瀬は安堵した。
美鶴の血の匂いはしない。
証拠に、倒れているのは襲撃してきた男だ。



