「ゼリーはいかがですか? 椿がまた、たくさん作ったんですよ」
月野が来てから、椿はより一層、お菓子作りに精を出している。
月野が来るまで、紅玉館では甘いものを好んで食べる人がいなかったから。
「食後にいただきます」
「そうですか? では、椿に伝えておきます」
小野瀬にアイスティーのお礼を言ってから、月野はキッチンを出た。
「粛清の綾織、か」
ひとりになると、いろいろ考えてしまう。
足は自然と中庭に伸び、月野は頭の中をぐるぐると駆け巡る情報に目眩がしそうだ。
十夜が、誰かを殺めたことがあるとしたら。
そう考えると、やっぱり怖いと思う。
「・・・・・・?」
嫌な気配を感じて、月野は振り返る。
瞬間、屋敷のどこかの窓ガラスが、割れた。
「な、何?」
月野は驚いて、その場から動けずにいた。
窓ガラスが割れた瞬間、椿は素早く移動した。



