なんだか、鷹斗の雰囲気がいつもと違う。
この雰囲気に似た感覚を、月野はつい最近、感じたことがある。
―――静貴だ。
決して獰猛ではない、妖しい雰囲気。
月野は、話を終えたら早く帰ろう、と心に決めた。
「気にならない? あのガキが、なんで月野ちゃんを襲ったのか」
「血が、欲しかったから?」
月野の答えに、鷹斗は乾いた笑い声を上げた。
「浦部はそうだろうね。あれは咎堕ち間近みたいだったから」
(咎堕ち・・・・・・?)
問おうと思ったが、話が脱線すると思い、月野は口を閉じた。
「でも、あのガキは浦部よりも多少は複雑だ」
コーヒーを飲み干し、鷹斗はマグカップをテーブルに置く。
「元人間が母親。それは珍しいことじゃない。ただ、あのガキの母親は、なんの地位もなければ、金持ちでもない、普通の人間だった」
「いけないこと?」
鷹斗は苦笑し、空のマグカップを見つめた。



