「いらっしゃい、月野ちゃん」
「・・・・・・こんばんは」
月野を出迎えた鷹斗は、白いシャツを素肌に纏い、ボタンを殆ど外しているので、たくましい胸板が見え隠れしていた。
―――ガチャ・・・・・・ン。
玄関の鍵が閉められた時、月野の脳裏に椿の言葉が浮かんだ。
【逃げ道の確保】
何もないとわかってる、信じたい。
月野は玄関から目を逸らし、通されたリビングを見回した。
黒と白でまとめられた、シンプルな部屋。
もっと派手な部屋を想像していたのだが。
「何か飲む?」
「すぐに帰るわ」
ソファーに座らず、月野は立ったままでいた。
「せっかく来たんだ。ゆっくりしていってよ」
鷹斗が、ガラスのテーブルに白いマグカップを置く。
中身は真っ黒―――コーヒーだ。
「俺の気が変わらないように、ね?」
「・・・・・・」
月野は仕方なく、ソファーに座ることにした。



