甘いとかお人よしとか、もしくは偽善と言われるかもしれない。
それでも、今ここで桜太のことを見て見ぬふりはしたくない。
もちろん、なんの処分もなく、だなんて慈悲深いことは言わない。
自分はヴァンパイアみたいに強くはないから、救えるかどうかなんてわからない。
でも、ほんの少しだけ、あの子の運命が変わればいいと思った。
数日後の21時前。
月野は、メモに書かれた場所へ足を運んだ。
十夜に告げずに。
でも、不安だから椿にはそれとなく伝えておいた。
見上げるマンションの一室に、鷹斗はいる。
「・・・・・・」
言いたいことだけ言って、さっさと帰ろう。
(桜太くんの処分を考え直してほしい。うん、これでいいよね)
この先、月野が桜太に会うことがあるかはわからない。
けれど、後悔したくはないから。
優しいとも言え、甘いとも言える自分の行動。
月野は覚悟を決めて、マンションへ足を踏み入れた。



