被害者なんだから、もっと責めたっていいのに。
愛理は不満げに唇を尖らせる。
「言っとくけど、別にあんたを心配してるわけじゃないのよ? 同じ女だし、同族の仕出かしたことだから」
言い訳のように繰り返す愛理に、月野は苦笑する。
「あんた、家族のとこに帰った方がいいんじゃない?」
「え?」
「だって、このままここに居続けたら、いつか本当に血を吸われるわよ? それだけじゃなくて、運が悪ければ殺されるかもしれない」
心配してくれてるんだ。
月野は、真剣な愛理の目を、真っ直ぐに見つめ返す。
「そ、それに、あんたがいなくなれば、私は十夜と一緒にいれるだろうし」
付け足すような愛理の言葉は、徐々に小さくなる。
悪役になりきれない、というのは、こういう人を言うんだろうな。
「愛理〜? もう入っていいか?」
「ダメ。あんたは乙女の部屋に入るの禁止!」



